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玄関ドアに督促状を貼り付けた行為等が不法行為にあたるとされた事例

(大阪地裁平成22年5月28日判決)

事案の概要

借主は、家賃保証会社と保証委託契約を締結した上で、貸主から家賃1ヶ月8万5000円で共同住宅の1室を賃借していたところ、借主が家賃の支払いを怠った。

家賃保証会社の従業員は、借主の携帯電話に電話したが、連絡が取れなかったので、督促状又は催告状と表題が付され、滞納家賃額に5000円を加算した9万円の支払を督促する旨が記載された書面を、表題が見える状態で折り曲げ、玄関ドアに貼り付けた。

その後、借主が家賃保証会社に連絡を取ったところ、同社の従業員は、高圧的な口調で、借主を強制的に退去させる旨示しながら、9万円の支払を請求した。

借主は、上記債権の取立行為の態様が、借主の名誉を毀損したり、脅迫を伴うものであるとして、家賃保証会社に慰謝料の支払い等損害賠償を求めた。

結論

家賃保証会社の従業員による取立行為は、不法行為を構成するため、借主の損害賠償請求は認められる。

理由

督促状又は催告状と表題が見える状態で書面を玄関ドアに貼り付けたことにより、他の入居者が、当該借主が家賃の支払を滞納し、債権者から取立てを受けている旨を認識し、又は容易に推知しうるといえるから、当該玄関ドアに貼り付ける行為は、他人に知られることを欲しないプライバシーに関する情報を、不特定の人が知り得べき状態に置き、もって借主の名誉を毀損する違法な取立行為といえる。

また、家賃保証会社は賃貸借契約の解除権を有していないにもかかわらず、高圧的な口調で、解除権を有しているかのごとく述べて未払賃料の支払いを請求する債権取立行為は、社会通念上相当とされる限度を超えるものであって、不法行為を構成する。

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