これから借地契約を結ぶ方(あるいは更新する方)の中には、借地契約書を締結する際の注意点について知りたい人もいらっしゃるでしょう。
ここでは借地契約を締結する前に知っておきたい7つの注意点とポイントを解説します。将来の賃貸トラブルを回避するためにお役立てください。
借地契約を締結する際の7つの注意点とポイントは?
借地契約とは、建物を所有することを目的に、土地の所有者(賃貸人、地主)と借地人(賃借人)が土地の賃貸借について締結する契約のことです。一般的には、書面(借地契約書)であらかじめ契約内容をまとめておき、その内容に合意した上で契約を締結します。
借地契約の注意点としては次の7つが挙げられます。
1.賃貸借か、使用貸借かを明確にする
2.建物の所有を目的とするかを確認する
3.借地権の適切な種類を選ぶ
4.書面で契約を交わす
5.記載すべき内容を網羅する
6.借地借家法に沿った内容にする
7.不動産に強い弁護士のサポートを受ける
それぞれの注意点とポイントについて確認していきましょう。
借地契約の注意点1:賃貸借か、使用貸借かを明確にする
借地契約を交わすときの注意点の1つ目は、借地契約の基本を理解することです。土地の貸し借りに関する契約としては、大きく「賃貸借契約」と「使用貸借契約」があります。両者の違いは次の通りです。
| 賃料の設定 | 借主が死亡した場合 | |
|---|---|---|
| 賃貸借契約 | あり | 契約は継続 |
| 使用貸借契約 | なし | 契約は終了 |
賃貸借契約は、土地の所有者と借地人の間で地代を設定して、土地を貸し借りしている契約です。これに対して、使用貸借契約は、地代を設定せずに、土地の貸し借りをしている契約です。
借地契約は、土地の所有者と借地人との間で地代を設定する賃貸借が前提となるため、借地契約書を作成する際には、まずは借地人が支払う地代の金額を決める必要があります。
借地契約の注意点2:建物の所有を目的とするか否かを確認する
借地契約を締結するにあたって、建物の所有を目的とするか否かも注意したいところです。
借地借家法では、借地権について以下のように定義しています(同2条より引用)。
借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
つまり、借地借家法における借地権とはあくまでも「建物の所有を目的」としたものであるということです。建物の所有を目的としない(例:駐車場の使用契約)の土地賃貸借契約には、借地借家法は適用されません。
借地契約の注意点3:借地権の適切な種類を選ぶ
借地契約を締結するときの注意点の3つ目は、借地権のいくつかの種類の中から、適切なものを選ぶことです。
借地借地法が適用される借地権には以下のような種類があり、それぞれが同法で定義されています。
・普通借地権
・一般定期借地権(借地借家法 第22条)
・事業用定期借地権(同 第23条)
・建物譲渡特約付借地権(同 第24条)
この他、「一時使用目的の借地権(同 第25条)」もありますが、この借地権は、借地借家法の重要な規定が適用されません。
ここでのポイントは、なんとなく成り行きで「普通借地権」を選ばないことです。「特別な契約ではないから、普通借地権でいいだろう」と判断した結果、将来の賃貸トラブルに発展したり、土地の所有者が著しく不利になったりする可能性もあります。
それぞれの種類の借地権の内容を詳しく知りたい人は、下記の記事をご参照ください。
借地契約の注意点4:書面で契約を交わす
「借地契約は大事な契約なので、書面で交わすのは当たり前」と感じる人もいるかもしれません。しかし、実際には、土地の所有者と借地人が「友人・親戚・ご近所だから」などの理由で、借地契約を口頭や簡単なメモで交わしているケースもあります。
たしかに、借地契約のうち、普通借地権は必ずしも書面で契約しなくても構いません(定期借地権や事業用定期借地権などは、公正証書など書面での契約が必要)。
とはいえ、現時点で信頼関係があっても、それが長期的に続く保証はありません。時が流れてお互い疎遠になったり、当事者が親から子へ代替わりしたりして、「土地を返して欲しい」「地代を変更して欲しい」との要望が出てきて、それをきっかけにトラブルに発展するケースも少なくありません。
こういったトラブルを回避するには最低限、借地契約を書面で締結した方がよいでしょう。
借地契約の注意点5:記載すべき内容を網羅する
借地契約は、数十年以上にわたって効力があることも少なくありません。また、借地契約書の内容を変更・追加しようと思っても、土地の所有者・借地人の双方が合意しなければできません。
上記を踏まえると、借地契約は、必要な記載事項をしっかり網羅して契約書を作成することが重要です。たとえば、ADR法を適用した模範的な「土地賃貸借契約書」では、次のような契約条項が記載されています
*ADR法:裁判外の紛争解決を促進する法律の略称
・賃貸人および賃借人
・物件の表示:土地の所在・地番・地目・地積
・契約の目的:建物の種類・構造・床面積・用途
・契約期間:開始と終期の年月日
・賃料(地代):月額賃料・毎月の支払日・支払い方法
・権利金:権利金の有無・金額・返還条件
・保証金:保証金の金額とその扱い
・建物増改築:賃貸人の書面による承諾がなければ、増改築・再築ができないことなどを明記
・契約の解除:賃料を○カ月分以上怠ったとき、契約解除ができることなどを明記
・原状回復義務:普通借地権では、土地上の建物などを収去して(更地にして)返還するなどの条件を明記
・更新:普通借地権では、当事者が協議した上で契約更新が可能なこと、更新した場合の年数や更新料を明記
・連帯保証人:連帯保証人は、借地契約に係る債務を賃借人と共に連帯して履行することを明記
・管轄裁判所:土地の所在地を管轄する裁判所などを明記
参考:JAMCO(一社)日本民事紛争等和解仲介機構「土地賃貸借契約書」
*上記の記載事項は基本的な内容です。実際にはケースバイケースで条項や内容を追加して土地賃貸借契約書を作成します。
借地契約の注意点6:借地借家法に沿った内容にする
借地借家法の適用のある借地契約では、「借地人(賃借人)が手厚く守られることになる」のが基本です。これを無視して、土地の所有者(賃貸人)に有利な条件の借地契約書を作成しても、その部分が無効になったり修正されてしまったりする可能性が高いので注意しましょう。
わかりやすい例でいうと、普通借地権の借地契約書を作成した際、「更新後の契約期間は5年間」と記載されていても、借地借家法の内容に修正されてしまいます。
借地契約の注意点7:賃貸に強い弁護士のサポートを受ける
借地契約は「不動産会社に任せていれば大丈夫」という考え方は危険です。
不動産会社によっては、建物の賃貸借を専門的に取り扱っているため、借地契約の知識や経験に乏しい不動産会社も中にはあります。このような不動産会社に任せて、安易に土地賃貸借契約書のひな形をもとに借地契約書を作成してしまったがために、将来、深刻な賃貸トラブルに陥ってしまうかもしれません。
安心なのは弁護士の助言・チェック・サポートを受けながら、適切な借地契約書の作成・締結を進めることです。しかし、弁護士といっても専門分野があり、賃貸に精通しているのはそれほど多くありません。
身近に相談のできる賃貸に詳しい弁護士がいない場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。借地契約書の作成サポートはもちろん、あらゆる賃貸トラブルのご相談にのることが可能です(初回相談料30分無料)。
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