原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
トラブル解決の指針となるガイドライン
敷金精算と原状回復をめぐる苦情、トラブルの増加に対応するため、旧建設省は平成年11年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発行しました(国土交通省住宅局が平成16年2月に改訂、さらに平成23年8月に再改訂)。
このガイドラインには、さまざまな事例について、貸主と借主のどちらが費用を負担すべきかという基準が、事細かに示されています。
ガイドラインに強制力はありませんが、裁判所が概ねガイドラインに沿った内容で判断する場合が増えているため、事実上ガイドラインは法律と同じような効果を持ち始めています。
賃貸借契約における「通常の使用による損耗」については、あくまでも貸主が負担すべきであり、借主はひどい使い方をして発生した損耗だけを費用負担すればよいことが、ガイドラインにおいても確認されています。
借主への説明責任を定めた東京都条例
平成16年10月1日から、「東京都で賃貸住宅紛争防止条例(東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例)」が施行されました。
この条例は、東京都内に存在する不動産業者に対して、入居中の修理や原状回復の費用負担に関して、まず法律の一般原則を説明し、次に実際の契約での費用負担特約がどうなっているのかを、独立した書面で借主に説明する義務を課したものです。
この条例は不動産業者が対象であり、貸主は何ら規制の対象にはなっていません。
また、おもに居住を目的とする建物についての条例ですので、倉庫や店舗の賃貸借には適用されません。
東京都の物件を扱うすべての仲介業者が、条例で定められているようなきちんとした説明を行えば、原状回復に関する紛争は大幅に減少すると考えられます。
そして、この東京都条例により、原状回復に関する紛争が減少すれば、同条例は、他の地域の仲介業者にも大きな影響を与えることになるでしょう。
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