更新料の支払合意は消費者契約法10条に違反しないと判断した事例
(大阪高裁平成21年10月29日判決)
事案の概要
貸主は、借主に対して、建物の1室を、賃貸した。賃貸借契約書には、「契約期間満了の1ヶ月前までに、貸主・借主のいずれからも書面による異議申出のない場合はさらに2年間更新されるものとし、以後も同様とした上で、契約更新に際して旧賃料の2ヶ月分を支払う旨の条項があった。賃貸借契約は、3回にわたって合意更新され、更新の際、借主は、貸主に対し、更新料を支払った。
ところが、借主は、上記の更新料の支払合意は、消費者契約法10条に反するから無効であるとし、貸主に対し、更新料の返還を求めた。
結論
本件更新料の支払合意は、消費者契約法10条に違反しない。
理由
更新料は賃借人にとって不利益な負担金であるとしても、その一方で、更新料の支払いにより、月々の賃料が抑えられている等、賃借人にとって有利な側面も存在する。
更新料の金額及び更新される賃貸借期間等その他個別具体的な事情によっては、賃借人にとって信義則に反する程度にまで一方的に不利益になるものではない。
本件では、賃貸借期間は2年であり、礼金は20万円(賃料の4ヶ月分弱)とされ、2年後に賃貸借期間を2年更新する場合の更新料を旧賃料の2ヶ月分と定められた。
支払うべき更新料は、礼金よりも金額的に相当程度抑えられており、適正な金額にとどまっているということができる。
しかも、本件事案において、仮に、本件更新料が存在しなかったとすれば、月額賃料は当初から高くなっていた可能性もあった。
よって、本件更新料支払条項は、消費者契約法10条後段に該当せず、無効と解することはできない。
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