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定期借家契約

まずは契約書の作成を

定期借家契約は、契約期間が終了した時点で、更新されることなく終了する契約です。従って、たとえば転勤の間だけというように、一定の期間を区切って部屋を貸したい場合には、定期借家契約が適しているといえます。

では、定期借家契約を結ぶには、どのような手続きが必要でしょうか。

まずは契約書の作成です。普通借家契約は、口頭でも契約が成立しますが、定期借家契約では、必ず契約書などの書面を作成する必要があります。契約書には、借家契約が定期借家契約であることを明記し、「この契約は〇年〇月〇日をもって終了するものとし、更新されない」といった条文を加えることになります。

また、貸主は、契約書とは別に「この契約は更新がなく、期間が満了すれば終了する」といった文言を記載した書面を借主に渡し、定期借家契約であることをきちんと説明しなければなりません。つまり、貸主は借主に対して「書面の交付」と「説明」の両方を行う必要があるわけです。そのうちのひとつでも怠ると、その契約は普通借家契約となってしまいます。

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さらに、契約期間が1年以上に及ぶ定期借家契約の場合、貸主は、期間満了により契約が終了する旨を借主に対して通知する必要があります。この時期は、契約が終了する1年前から6ヶ月前までの間とされています。もしこの通知をしないと、あらかじめ想定した期間が経過しても契約が終了しないことになってしまいます。

なお、期間満了6ヶ月前から期間満了までの間に通知をした場合は、その通知の日から6ヶ月後に契約が終了することになります。

借主の中途解約について

定期借家契約では、一定の場合に限り、借主に中途解約権が認められています。

すなわち、床面積が200平方メートル未満の居住用建物については、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情で建物を「生活の本拠」として使用できなくなった場合、借主は契約を解約することができます(借地借家法38条5項)。

ここにいう「やむを得ない事情」とは、契約締結時に的確に予測して契約期間を定めることを借主に期待することが困難または不可能な事情であり、借主にリスクを全面的に負担させることが適切でない事情をいいます。

借地借家法は、「やむを得ない事情」の例として、転勤、療養、親族の介護を挙げていますが、このほか、海外留学、勤務先の倒産、解雇等によって賃料を支払うのが困難となった場合、リストラ等に伴う転職によってやむを得ず転居せざるをえない場合、賃借建物の他の部屋で殺人や自殺があった場合、暴力団が入室して安心して居住できない場合、などがあたります。

やむを得ない事情で借主が契約を解約した場合、定期借家契約は、借主の解約申し入れがあった日から1ヶ月後に終了することになります。

なお、中途解約について独自のとりきめをしても、優先されるのはあくまでも法律です。従って、「借主の中途解約を一切認めない」、「借主の中途解約は解約申し入れの日から3ヶ月後に終了する」といった条項を契約書に設けていても、それらの条項は借地借家法に反するものとして無効となります。

また、定期借家契約でも、普通借家契約と同じように「賃料の増減額請求」をすることができますが、契約書で「賃料は2年ごとに1割ずつ増額する」といった特約を設けている場合には、その特約が優先し、賃料の増減額請求ができなくなります(借地借家法38条7項)。そのため、いったん賃料の改定に関する特約を設けると、その後、近隣の家賃相場が2、3割上がった場合でも、貸主は賃料の増額請求ができなくなってしまいます。

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