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賃借人の迷惑行為を理由とする解除が認められた事例

(東京地裁平成10年5月12日判決)

事案の概要

貸主は、マンションの1室を賃貸した。賃貸借契約には、「借主は近隣の迷惑となる行為をしてはならない。」という条項があった。

ところが、借主は、入居直後から、隣室の住人に対し、音がうるさいなどと何回も執拗に抗議を続け、夜中に隣室との間の壁を叩いたり、隣室の入口のドアを強く足で蹴ったりするなど嫌がらせ行為を続けたため、同隣室の住人は退去してしまった。

また、借主は、他方の隣室の住人に対しても、音がうるさいなどと抗議をし、同住人に対し、大声で怒鳴ったり、夜中に壁を叩いたりしたため、同住人も退去してしまった。借主の行為により、両隣室は、空室のままとなっている。

貸主は、賃貸借契約を解除する旨通知し、借主に対し、明け渡しを求めた。

結論

貸主による賃貸借契約の解除は有効であり、借主に対する明け渡し請求は認められる。

理由

隣室から発生ずる騒音は社会生活上の受忍限度を超える程度のものではなかったのであるから、借主は、通常発生する騒音としてこれを受容すべきであった。

にもかかわらず、借主は、これら住人に対し、何回も、執拗に、音がうるさいなどと文句を言い、壁を叩いたり大声で怒鳴ったりするなどの嫌がらせ行為を続け、結局、住人に、隣室からの退去を余儀なくさせるに至った。借主の同行為は、本件賃貸借契約の特約において、禁止事項とされている近隣の迷惑となる行為に該当する。

そして、借主の上記行為によって、両隣りの部屋が長期間にわたって空室状態となり、貸主が多額の損害を被っていることなどを考慮すれば、借主の上記行為は、本件賃貸借における信頼関係を破壊する行為に当たるというべきである。

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